私がコーチングと出会ったのは、前職で中学校の教師をしていた頃です。かれこれ、10年前になります。
当時は、子ども達を教える立場でしたので、何とか子ども達をうまくいかせる方法はないかと悩んでいました。
自分は、教えるのが苦手です。
正式に言うと、自分の好きなことや、いいと思ったことを教えるのは大好きなのですが、自分が納得していないことを教えるのは、とても苦手です。
特に、上から一方的に教えたりすることが苦手で、もちろん相手から同じようにされるのも苦手でした。
そんな中、当時、 伊藤守さん という方のもとでコミュニケーションのトレーニングを受け始めていました。
3ヶ月つづくトレーニングで、最初にテーマを決めて、そのテーマに沿って日常生活で取り組みます。
私のテーマを決めるためにアシスタントの人が一人ついてくれるのですが、そのアシスタントはボランティアのスタッフで行政の仕事をしている人でした。
テーマを決めることに関しては、教育者である私の方がよく知っていると思っていたので、テーマを決める時に、「きっと私からいろいろと話をしていかなければいけないだろうなあ」と思っていました。
しかし、そのテーマを決めるセッションは予想を越えた、大きな気づきを私に与えてくれる場になりました。
びっくりしたことに、彼は、そのセッションで、私に一言も教えずに、そればかりか、興味深く私に話を聞いてくるのです。
「へー、すごいねえ」
「なんで、こんな遠くまで学びに来ているの?」
「うわー、で、それからどうなったの?」
と、あまりにも興味深く聞くので、熱心に自分の考えを話していました。
話しているうちに、自分では考えていなかったことに対しても、スラスラ答えている自分がいました。
そのようなやりとりをしていくことで、自分自身の考えがだんだん輪郭を現してきて、
「そうだ、自分のやりたいことはこのことだったんだ」
と思えてきました。
そして、最後に私が
「自分から相手にコミュニケーションを取っていけるといいなあと思っているんですよ・・・」
と、私が言ったら、彼は、その言葉をキャッチして
「あっ、それ、テーマになるんじゃないかな?」
と言ってくれました。
そのとき、はっとしました。
彼は、一言も私に教えずに、私の話を興味深く聞くことで、私に話させて、気づきをおこさせた。
私が探していたのはこれだ!この方法だ!
と、先行きが大変明るくなったのを覚えています。
と、同時に、自分はこの人みたいになりたい。
絶対にこの手法を手に入れる。
と、思いながら日々をすごし始めていました。
それから、1年後に、このアプローチがコーチングという技術だったことに気づきます。
97年のことでした。
それからずーっとコーチングを探求しています。